最後の言葉
ある大学の先生から、彼の執筆した本をとある理由から頂いた。
彼の業界の話が面白おかしく書かれてあり、私のような凡人にも楽しめるものだった。
大志を抱いてその道に進んだわけでもない先生が、今では誰よりも情熱を
持ってその道を明るくしようと、改革に取り組んでいる。
そうして今は、すべての仕事の集大成に入りつつあると言っていた。
いくつかご両親のエピソードも紹介されているのだが、これには参った。
お父様が癌でこの世を去る時に、先生に放った最後の言葉がこれだったという。
「おまえの苦業はすべて俺が持っていくから、おまえは心配しないで生きればいい」
立場、状況が違うだろうが、自分がこんな究極の愛を持って最後の時を
迎えられるだうか?想像を超越した言葉で、息を飲み、しばらく正気に戻れなかった。
先生の全てはこの一言に支えられて来たのだろう。