高橋大輔
昨日、彼が引退を表明した。
競技者としての彼の作品が見れないのかと思うと、悲しくてため息が出る。
もう彼が懸命に戦った大会を振り返り、思い出すことしか出来ないのかぁ。
それにしても最後まで彼は優しいアスリートだったと思う。
ガラスの心臓と言われ、練習やリハビリがキツくて家出をし、
オリンピックに出ることもいつもぼんやり描いていたと。
今もてはやされるのは、将来その道の世界一になることを力強く作文で
断言するような子供なんだろうが、彼は違ったと想像する。
私はそれでいいと思うし、そんな彼がとても好きだった。
長光コーチがこんなエピソードをインタビューで語っていた。
大阪、岡山間を練習で往復してた頃、列車に座って帰るために一番前で
ホームに並ぶのだが、結局は後ろのおばさん達に譲ってしまい、
自分はクタクタなのに立って帰ったと。
最後の会見も岡山で行われ、地元に恩返しがしたいと言う彼に十分にしましたと
長光コーチが彼の優しさをなだめるように、終止符を打った。